旅と鉄の盲腸にっぽんの駅?な駅へのご招待(私鉄編) >3ページ

名古屋鉄道名古屋本線 名鉄名古屋駅Meitetsu-nagoya
 これくらい大規模な駅で「変な駅」ってそうそうないんですが。とにかく変な駅です。

 ご存じの方も多いかと思いますが、名古屋鉄道は愛知県などを広くネットする大手私鉄で、四方八方、複雑に路線が張りめぐらされています。この路線網を真ん中でぎゅっと束ねた場所に位置するのがここ、名鉄名古屋駅です。

 他の大手私鉄のターミナルと決定的に違うのは、上に述べた地理的な事情から、行き止まり式でないこと。一方から電車がやってきて、そのままの方向に出ていく方式です。スルーなんですね。

新名古屋駅時刻表ケース◆時刻表だけで5種類。
 こういった事情で、各線からこの駅目指して電車がやってきますので、駅には多彩な行き先の多数の電車が一挙になだれ込みます。駅配布の時刻表だけで5種類(豊橋方面・常滑方面・岐阜方面・犬山方面・津島方面)。データイムまっただ中の午後1時や2時でも3分間隔で電車がやってくるという、非常に恐ろしい状況になっています。
新名古屋駅ホーム◆小さいキャパシティ。
 こんなに多種多様な行き先の電車がやってくるにもかかわらず、ホームは上下線各1本と、これに面したホームが3面、これだけです。内訳は岐阜方面行き一般車乗車が1番線、岐阜方面行きの一般車降車ホームと岐阜方面行きの座席指定特急の乗車が2番線、豊橋方面行きの一般車降車ホームと座席指定特急の乗車が3番線、豊橋方面行きの一般車乗車が4番線、というようになっています。ターミナルにしては恐ろしいほどコンパクトです。地下空間という制約から、むやみに広げることができなかったんでしょうけれども、それにしても小さい。
新名古屋駅動線図◆振り分けて降りて、振り分けて乗って。
 はいこちらは中央改札内、コンコースの図です。乗車する人の動きは赤矢印で、降車する人の流れは青い矢印で示しました。この他に座席指定特急に乗る人の流れが加わります。

 これは昼間時の状況なんですが、朝夕は若干流れが変わるかもしれません。しかしながら見事な動線の分離。中央改札を出口専用、入り口専用に分けているのがポイントですね。これは大阪ではまずできない芸当です。「ここがJRから近いからワシは絶対ここから乗りたい」と、出口から入ろうとする人が出てくると思います、絶対。
新顎や駅ホームの様子◆振り分けて降りて、振り分けて乗って。そして並ぶ。
 地下はどうなっているのか、降りてみましょうか。構内も狭いので、乗降はきちんと振り分け。到着した電車はまず、上下線に挟まれた岐阜方面2番線、豊橋方面3番線がわの扉を開けて降車客を降ろします。降りるのが終わると今度は反対側の扉を開け(岐阜方面1番線、豊橋方面4番線)、乗車客を乗せます。そうして階上の出入り口へ誘導、ということになるんですね。ホームでも、みなさんちゃんと並ぶんですね、2列に。

 よく見ていただけると分かるかと思うんですが、他の駅と比べて、列と列の間隔、狭いですね。これはどういうことなんでしょ。
新名古屋駅=ホームのランプ=◆目印はこちら。
 これが乗車目標です。電車を分けずに扉位置ごとに2列に並ぶと、とんでもなく列が長くなって収拾がつかなくなるので、向かいのホームにこのような乗車位置表示器が付いてます。これにならって並ぶわけですね。

 表示器は大まかな方面ごとに分かれており、近く到着する列車が停車する部分は点灯しています。直近に来る電車は、写真左のように黄色いランプが点滅します。

 つまり、方面ごとに電車の停止位置が若干違うわけですね。ということは・・・。
新名古屋駅=停止位置標=◆運転手だって難しい。
 ということで、こちら停止位置標です。停止位置標とは、運転手さんが電車を止める際に目標として使う印のことで、ここを先頭にして電車が止まるんですね。

 で、乗車位置が微妙にずれるので、停車位置も微妙にずれる、ということで、この標もこんなにたくさんついて、停止標だらけになっています(白矢印)。こちらも直近に止まる電車が使うものは点灯するようになっています(でないとどこに停まっていいか分からんって。)。

 これ運転手さんも大変ですね〜。
新名古屋駅ホーム全景◆微妙にくねくね。
 こちらはホームの端から駅を眺めたものです。線路が微妙にS字を描いているのが分かりますね。少しでもホームの幅を広くするためなのか、建設上の経緯なのか、はたまた他に理由があるのか詳細は不明ですが、他には見ない光景で、不思議な雰囲気があります。

 また地下駅なので柱が多く、見通しが悪いので、駅員さんはややこしい案内と、安全な運行を兼ねて、結構な数の方がホームに常駐しています。これで安心なのだ。
新名古屋駅放送室◆駅員DJ炸裂。
 とにかくややこしいので、案内のため駅員はやたらしゃべります。写真は詰め所なんですが、ここで放送、乗降確認の業務がされています。それはまるでDJブースのよう。でまた放送の情報が多いんですね。
 「急行犬山回りです。栄生・上小田井・岩倉・布袋・江南・柏森・扶桑・犬山と止まり犬山から普通に変わります。岩倉で普通犬山行きに、犬山で新可児行きと上飯田行きにお乗り換えができます。急行ですが、栄生・扶桑にも停まります。犬山からは普通に変わります急行犬山回り6両で到着で〜す」

・・・てな案配で。名鉄って、特別停車(その電車に限って普段は停まらない駅に停車する)が多く、よーく聞いていないと損することもあります。とにかく必要な情報を聞き漏らさない、というのが肝要なようで・・・。


 ・・・この駅、隣接して近鉄の名古屋駅があり、お互いが見えるところもあるんですが、近鉄が行き止まり式の広いホームを持ち、まったりとした間隔で発車していくのを横目に、こちらはまことに忙しい。「生き馬の目を抜く」という表現がありましたが、まさにこのとおりで、私正直な話、この駅を朝ラッシュ時に利用しておられる方を無条件に尊敬してしまいます。

 このほかにも、名鉄電車、編成がいろいろあるんですね。最短は2両から8両まで。これがごっちゃになってやってきます。また4両編成はホームの前半分の位置に停まったり、後ろ半分に停まったり。とにかく初心者には利用しにくい(コツがいる)駅です。

 人の流れをはじめ、乗車位置など、この駅をスムーズに利用できるようになれば、全国たいていの駅の乗降は可能?というほど、複雑で変な駅です。
新名古屋駅ホーム風景 新名古屋駅ホーム風景

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