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国民的吊革の握り方
結果はっぴょ〜&考察


 吊革の握り方から、世の中が見えてくる。かどうかは分かりませんが・・・。

 普段何となく握っている吊革ですが、握り方によってはかなり握りにくいものもあります。一部結果も踏まえますが、握っていて楽なもの、握るとある程度疲れるもの、そのどちらでもないもの、に大別しました。

★楽ちん握りグループ★
握っていて、これは楽。ホントに楽かどうかは分かりませんが、私が楽だと感じたものをここに入れました。

DX手首にぎり手首にぎり合掌にぎり2本取り柄にぎり


★しんどい握りグループ★
握っていてもある程度疲れる。でもしっかりつかまっている握りが多いので、不意に電車が揺れたときもしっかり対応できます。

順手にぎり逆手にぎり4本掛け黄門にぎり


★どちらでもない握りグループ★
上の2つに該当しないものですね。

2本掛け3本掛け


時間帯別調査結果から分かったこと。
 こちらを先に調べたので、こちらから行きます。
(1)順手にぎりが一番多い。
 当然といえば当然、ザッツスタンダード。一番標準的な握りが見事1位に輝きました。これは「そうなんではないか」という事前予想通りだったので、大して驚きませんでした。みなさんの多くもこの握りではないでしょうか。私もこれです。

(2)21時台の不思議。
 で、時間帯別の表を見ていただくと分かるんですが、平日、ダントツで1位を譲らなかった順手にぎりが首位の座を明け渡すのが、男女を問わず21時前後なんです。合掌にぎり、手首掛け、2本取りなど、楽ちん握り系が幅を利かせるようになります。

 どうしてなんでしょう。・・・考えてみると、順手にぎりという握りは、握るのに比較的力が要ります。しっかり握りますからね。で、21時台といえば、仕事で残業をしていた人が帰る時間がこれくらいなのではないかと。

 残業終わって、体はくたくた。ああ疲れたぁ〜、って駅まで来れば電車がまた座れねえよ・・・って方が疲労こんぱいで握る握り方って、やっぱり楽な握り方しますよね。

 それともうひとつ。飲み会の1次会が終わって駅にやってくると、これくらいの時間になってること、多くないですか?お酒に強い方もいらっしゃるでしょうが、大抵は飲んじゃうと動きが緩慢になったり、もう明日の事なんかどうでもよくなっちゃったり、しません?そんなとき、吊革しっかり握る人って少ないですね。

 ということは、平日21時台以降の電車ってのは、仕事でつかれている人、少し〜かなり飲んでいる人が多い、ってことになりますね(かなり強引なまとめ方)。

(3)男性に特有の、女性に特有の握り方。
 っていうのがあるようです。まず男性に多く女性に少ないのが、
柄にぎり手首掛け黄門にぎ2本取り合掌にぎり
の各握り。特に柄にぎりに至っては、女性は休日に1人のみ。いずれも見た目派手な握り(?)なので、女性がしているとちょっと「おや?」と思ってしまうような握りではあります(これって、セクハラ?)

 次に女性に多く男性に少ない握り方が、
逆手にぎり2本掛け3本掛け4本掛け
の各握り。男性に比べ2本掛け、3本掛けが多いのは女性の平均身長が男性より低いことに起因しているようです。平日7時台を見てみると、2、3、4本掛けの全体に占める割合は男性の約17%に比べ、女性ではおよそ49%と高い値になっています。

 また、逆手にぎりなんですが、これはほぼ女性に特有です。私が「一番握りにくい」と思った握りがこれです。どうしてこの握りが女性に特有なんだろうと考えると、女性特有の似たような仕草がありました。

 腕時計を見る仕草。これが逆手握りに非常によく似ています。体の構造上しにくい「手のひらを内側に向ける」という仕草、女性はし慣れているから、逆手にぎりもそんなに苦ではないのかもしれません(これって、セクハラ?)。

年代別調査結果から分かったこと
こちらも楽しい?結果が出ました。
(1)20,30,40歳代は、電車の中で吊り輪のブレスレット。
 手首掛けですが、これが20歳〜40歳代の男性に顕著です。左手で手首掛け、右手には週刊漫画雑誌か日経新聞。これが電車内での正しい成年男子の過ごし方?でも結構ジャマかも。吊り輪に手が垂れている様子は、見ようによっては大きな吊り輪のブレスレットをしているように見えます。バブル期に、ゴルフ好きなお父さん達の間で「ライマ」というブレスレットが流行りましたが、それに似ているかも。平日のお父さん、電車の中でプチバブル。

(2)正しいオジサマは、電車の中で水戸黄門になる。
 平日の場合で見ると、黄門にぎりの約60%が30、40歳代の男性です。日頃会社で、家の中で何かと肩身の狭い思いをしているおとうさん。せめて電車の中でぐらいは水戸黄門になって(しかし実際印籠を持つのは助さん格さん。)、悪がはびこる世の中を・・・ということはないと思いますが、やはり手のひらが大きいからこういう握りが造作なく出来るんでしょうね。男性向きの握りです。

調査していて分かったこと
 結果より、個人的にはこちらの方が面白かったです。
(1)握りかえの多い握り、少ない握り。
 人間、ひとつの姿勢をずっと続けると疲れますね。吊革を握るのも同じで、やはり半駅〜1駅くらいの間隔でみなさん握りかえ(一旦吊革から手を離して、また握る)をしておられました。

 興味深いのは握りかえたときに他の握りになるのとそうでないのとがあるんですね。

浮気性な握り
2本掛け3本掛け4本掛け順手にぎりDX手首掛け手首掛け
 これらの握りは、ホントにくるくる握り方が変わるんですね。計測していて大変だった握りです。

一途な握り
逆手にぎり
 不思議なことなんですが、逆手にぎりに限っては、何度握りかえても逆手にぎりなんです。その確率約98%。特に女性はほぼ全員がこの握り以外の握りはしませんでした。逆手にぎりはかなり個性的ですね。



一旦浮気をするが結局戻ってくる握り

黄門にぎり2本取り柄にぎり合掌にぎり
 「ごめん、やっぱりお前が一番ええんや」ということではないですが、一旦他の握りをしたあと元の握りになるのはこちら。特に黄門にぎりにその傾向が顕著です。しかも浮気先は必ずといっていいほど柄にぎりでした。2つとも「にぎる」ではなく「つかむ」という動作なので、握りかえしやすいのかもしれません。

(2)うつるんです。
 「レンズ付きフィルム」のことではなく、隣の人の握りがうつる握りがあるんですね。
合掌にぎり そのにぎりは、こちら。合掌にぎりです。両手で握ると吊革にぶら下がる格好になり、割と楽なんですが、、肘(ひじ)と肩が上がりますね。こんな感じなんでしょうか↓。

ある人「(両手で握ったら楽やから、両方で握ろ。)」
隣の人「(おっ、何やこいつ、肘と肩が当たってジャマやないか。仕返ししたろ。)」
その隣の人「(何やねん、うっとおしいなあ。ジャマやその肘。こっちも押したろ。)」

 ・・・というように、朝のラッシュ時には扉間の吊革を握っている人全員が合掌にぎりだったことがありました。ただこれ、負けん気の強い大阪だけの現象なのかもしれませんが。

 また、隣に立っている人と話すとき、自然としてしまうのがこの握り。話し相手の隣の人もやっぱりこの握り。握ってみて気が付きますが、隣の人の顔を見て話すとき、この握りなら手が邪魔にならないんですね。電車の中でコンパをすると(いやしないでしょう、普通。とセルフで突っ込んでみる。)、みんなこの握りかも。

(3)線区による差も若干あり。
 「線区の差」というのは車両の差なんですけれども、例えばJR。私鉄よりも吊革の吊ってある鉄棒の位置が低く、吊り輪と棒の間、つまり吊革の「革」の部分がちょうど握り拳1こ分なんですね。すると、それがつかみやすいのか、そこをつかむ人(柄にぎり)がやたらに多いんですね。柄が長い私鉄一般の車両にはあまり見られない現象でした。

 また、JR西日本の新快速。最高時速が130qで、かなり飛ばします。立っている人はしっかり吊革につかまってないと、本当に振り飛ばされそうになります。事実、新快速の車内では、発車して少しまではみなさんさまざまな握りをしているんですが、だんだんスピードが速くなってくるにつれ、ほぼ全員が順手握りになる、という珍現象が見られました。

(4)変な握り。
 ここでは握り方を11のパターンに分けましたが、必ずしもこの類型に当てはまらなかった握りというのも少ないながらありました。ここではそれをご紹介しましょう(特記以外のものはカウントに入っていません。)。
◎4本取り
 両手で2本ずつ握るおじさんを発見。それは取りすぎです。空いているときはいいですが、ラッシュ時にそれをやると殺されるかもしれません。

◎両手で柄にぎり、さらにその手をつなぐ。
 アラブ系外国人の男性。見てるこちらの方が目を覆いたくなるくらい辛そうに握ってました。「2本取り」に計上。

◎サバラ。
 30代男性。「サバラ」というのは30代以上の方なら分かると思いますが、漫画「マコトちゃん」の主人公マコトちゃんの決めのポーズのこと。親指、人差し指と小指を立てて残りの2指は握り「サバラ!」って言います。これを吊革でする人を発見。しかも丁寧に、開いた人差し指と小指はきっちり吊り輪を押さえている。っていうか疲れるっしょ〜。この人は一貫してこの握り以外の握りはしませんでした。

(5)新しい吊り輪ではどうなのか。
 ちょっと余計な話になりますが、今回の調査ではレール方向に吊ってある吊革(つまり、網棚と吊り輪部分が平行になっている吊革)を調査対象としました。ところが最近、新しい吊革があるんですよね。それは、吊り輪が枕木方向になって(網棚と吊り輪部分が直角になっている)いて、輪の部分が「おむすび型」になっている、あれです。ここでは、その新しいほうの吊革は対象外です。これどうしてかといいますと。

 握りやすいんですよね。手を下から上へすっと上げるとそのまま握れるんです。それに比べて、調査対象とした旧来の吊革をつかむには、ほとんどの握りが「手を上げてから90度手首をひねる」という動作が必要です。そのせいか、握りのバリエーションは圧倒的にこのタイプのほうが多かったんです。おむすび型のものはざっと見たところ、ものすごく「順手握り」が多いんです。また手・腕の構造上、このタイプで例えば「逆手握り」などはあり得ないですね。順手でも疲れず、握りやすい。順手で握りやすいのでバリエーションが少ない→小ネタ的には面白くない、ということで対象外としたのでした。

(6)最初はみんな、順手なんだ。
 ということ。電車に乗ってきて、ぱっ、とつかむ握り。これ8割方の人が順手にぎりなんですね。ここから数秒〜数分で他の握りに変わる方が多いんです。個性は、この先に出ます。ということは、体の構造上つかみやすい握りでかつ疲れる握り、というのが順手にぎり、ということになるでしょうか。

と、いうことで一応の結論。

1.国民的吊革の握り方は「順手にぎり」。

2.吊革の握りは、無意識のうちにその人の個性・身体の状態を反映した握りになっている。


3.都市部の平日21時台以降の電車に乗っている人は、疲れている人か、飲んでいる人が多い。


 3.って、別に吊革を調べなくても導き出せるような気が・・・(殴)。

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あとがき握り方調査用紙の画像

 そもそもこの調査を始めたのは、「通勤の電車内で何か出来ないか」と思ったことからでした。最初2000人ほど調べようかと思ってたんですが、個人レベルで調査するには大変で、1500人超とさせていただきました。2000年度の懸案、ここに完成です。

 通勤電車内でした調査なので、6割方が普段利用している南海本線内での調査になりました。したがって、地域による偏りというのもあるかもしれませんので、参考程度に見て下さい。

 それと計測にあたっては、駅で配っている遅延証明書を参考に、時間帯、年齢、握りの形をコピーしたカードを1人につき1枚作成し、それに改札パンチで該当個所へ鋏を入れるという方法を採りました。そのカードをもとに、時間帯別、年齢別に並べ替えをしたんですが、数が合っているかは甚だ疑問です。全体数は合うまで数え直しましたが、個別の握りに関しては数合わせをしていません。だから、間違っても両方のデータを突き合わせるなんて仕打ちはしないでくださいね♪



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