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大阪駅Osaka〜大阪駅に階段が多いわけ〜

※画像に枠のついているものは、画像をクリックすると大きめの画像を表示します。

◆階段の多い駅
 さて大阪駅。頻繁に利用されたことのある方なら感じられたことがあると思うんですが、大阪駅って、階段やスロープがやたら多くないですか?しかも微妙なところに微妙な段数の階段がありますね。
数段の階段
 これは中央口、大阪環状線ホームへの上り口付近なんですが、ここに階段があります。3段。そしてその向こうは階段1段分くらいの高さで傾斜になっています。

数段の階段
 桜橋口から中央コンコースへ向かう通路部分。階段数段分下がっています。天井もあわせて低くなり、入り口部分には「頭上注意」の文字。これ、決して工事中じゃないんです。完成したのがこの姿。

左右で段数が違う階段
 御堂筋口で。2段と3段、柱を挟んで段数の違う階段。合成ではありません。そもそも、入り口に階段(しかも降りる階段)があるって変ですね。

 この御堂筋口を例にとりますと、改札口までに2〜3段の階段を下りる→改札を通る→さらにスロープで少し下がる→階段を10段ばかり上がる→ホームへの階段を上がる、ということになっており、非常に細かなアップダウンが多い。他の入り口もおよそ似た造りになっています。これって、どういうことなんでしょう。

◆どうして階段が多いのか
 結論から言いますと、大阪駅、地盤沈下と駅自体の重量でかなり沈んでいるんです。階段やスロープは沈下でできた段差を埋めるためにできたものなんですね。

 もともと大阪駅がある梅田周辺は、その地名の由来が「埋め田」から来たという説があるくらい、水分を多く含んだ軟弱な地盤で、今でも地下5〜25メートルの位置には梅田層と呼ばれるへ泥もしくは粘土状の層があります。昭和初期に始まった工業用地下水のくみ上げがこの粘土層を収縮させ、また駅舎自体の重みに土壌が堪えきれず、結果地表が沈む、というメカニズムになっているようです。

 手元にある、昭和22年運輸省施設局線路課作成の「大阪駅構内構内高架橋の沈下に就いて」と題する書面によると、大阪駅構内は東(東京より)から上淀川橋梁、盛り土部分、3径間4支柱式径間5.5メートルのラーメン構造、阪急第一、第二架道橋、フラットスラブ区間、鉄筋コンクリートラーメン部分、梅田大道架道橋部分、乗降場ラーメン部分、中央コンコース橋梁、郵便局前架道橋、盛り土部分という構造になっており、地下水くみ上げによる地盤沈下は平均35センチ、最大52.5センチ。これに加えて駅舎自体の重みによる沈下が平均40〜50センチ、最大80センチ。最大で約1メートル沈下していることになります。駅舎の重みによる沈下のほうが大きいんですね。

 一番沈下が小さいのは下に地下鉄が走っている梅田架道橋部分で、基礎を頑丈にしてあるため。これ以外の部分は沈下が大きく、加えて駅中央部が駅の南北両端より更に50センチ低いという、なかびくの形状をしている、といいます。この不等沈下により当時の大阪駅では駅構内に最大23.6パーミルの急勾配ができ、列車はレールに砂をまかないと出発できなくなりました。また勾配部分にあるポイントも動かなくなることもしばしば、ホームの屋根は沈下により列車の建築限界(列車が安全に通行できるよう定めた建築禁止の範囲)を抵触するなど、様々な支障をきたすようになりました。

 これではいかん!といことで、勾配を緩やかにするために急遽バラスト(線路の下に敷く砂利)を追加して勾配を緩やかにしたり、ホームの嵩上げしたりして急場を凌いできました。現在、バラストは浅い部分で25センチ、深い部分では1メートル超と極端な差があります。

◆沈下の足跡
沈下の足跡
上の写真は現在の3・4番のりばなんですが、現在のホームの下に、嵩上げ前の旧ホーム跡が見えます。これをたどっていくと東側(写真奥)に向かってずーっと下がっていって、ついには線路の下に潜り込んでしまいます。これだけ下がっているんですね。現在のホームもやや下がり気味です。

◆現在も
うねるホーム
上の写真は3・4番のりばの東端の様子です。画面右端が沈下の少ない部分、左に行くほど沈んでいる部分になります。こうして見ると、ホームが微妙にうねうねしてますね。このあたりは余程長い編成の列車でないと停止しない位置なので、事実上支障がないとはいえ、かなりな不等沈下が起こっています。

 地盤沈下自体は昭和34年に条例が制定され、地下水の汲み上げが規制されたことから収まりましたが、駅舎自体の沈降はまだ止まらずに続いているようです。バブル期にリニューアルされた中央口付近の床も微妙に歪んできています。今でも数年に1センチくらいのペースで沈んでいるようですね。

◆最沈下部分は?
最沈下部分
 ちょっと気になったので、構内を歩いてみました。もうすでに基準がどこなのかすらわからないくらいの複雑な形状をしているんですが、中央コンコースを基準としてみますと・・・・。上写真のあたりのようです。ここは中央コンコース北側から御堂筋コンコースへ向かう通路「トラベルコート」なんですが、中央コンコースから階段で数段、さらにスロープで数段下がった位置です。駅付近の地表からするとほぼ半地下の状態になります。更に向こうに階段とスロープが見えていますが、これが御堂筋コンコースになります。こんなに高低差が・・・。数十年後には晴れて地下駅に・・・なんてことになっていないように祈ってます。


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