旅と鉄の盲腸にっぽんの駅?な駅へのご招待(私鉄編) >7ページ

京福電鉄嵐山本線 山ノ内電停Yamanouchi

 こちらは京都市、嵐山へ向かう通称「嵐電」の駅です。停留所名は、もともとこの辺りが比叡山延暦寺の境内の飛び地であったことからだそうです。専用軌道の比率が高い嵐電ですが、この電停は併用軌道上にあります。

 ということでどうしてこの停留所が変わっているかは見ていただいて一目瞭然だと思うのですが、ホームが非常に狭いんです。体ひとつ分とちょっと。この停留所では、電車を待つ人はホームではなく両脇の歩道に立っていることが多いのですが、何故そういうことをしているかというのはホームに立って電車を迎えてみると分かります。路面電車とはいえ、入線は結構なスピード。体を電車と平行にして待たないと、電車に当たってしまいそうな危うさなんです。とくに訪問日のような雨の日は傘にご用心。普通に傘を差していると絶対触車してしまいます。しかも両脇の道路はバスが結構な頻度でやってきます。電車が入線してきたので後ろに下がったら今度はバスと触車するかも。

 電鉄側も危ないのは勿論承知していらっしゃるとは思いますが、このあたりは片側1車線、加えて道のすぐそばまで建物が立ち並ぶ密集地帯で、これ以上の道路拡幅は無理なのでしょう。ホームと呼べるものがまったくない岡山電軌・中納言と、ホームはあるけどえらく幅が狭いここと、どっちがいいのでしょうね。悩んでしまいます。

 ということで、この停留所では電車を待つ時は両脇の歩道(というほどの広さもないのですが)で待つのがベストなようです。ただし道路横断の際は車に充分ご注意を。急がずとも、電車の運転手さんは歩道のほうを見てくれていますので、少しは発車を待ってくれますし、次の電車はすぐやってきます。

 って、次の電車が来た時も渡られへんかったらどうしよ。

山之内電停・全景 電停に停車する電車

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古屋鉄道築港線 東名古屋港駅Higashi-Nagoyako

 名古屋市南東部、大江という駅から分岐するわずかひと駅だけの路線を名鉄築港線といい、この東名古屋港はその築港線の終点にあたる駅です。

 この駅がどうして変わっているのかというとそれはやはり電車の本数でして、平日と土曜は7・8時台と16時〜19時台、休日は1日8往復(2007年現在)しか運転されないという、昼間は電車が走らない駅なのです。周辺が工場地帯、休日は運行本数が大きく減るということで、JRの和田岬駅(兵庫県)などと似たような印象を受けます。

 しかもこの駅(路線)の場合、変わっているのはこれだけではありません。路線自体は単線を1本の電車がずっと往復することから、スタフ閉塞という運転方式が採用されていますが、このスタフが「棒状スタフ」と呼ばれる、日本でもここと津軽鉄道でしか使われていないという特殊なもの。さらに大江方向に少し戻ったところ(名電築港という貨物駅だそうですが)にはこちらも全国的に珍しい線路の平面交差があったりと、施設的にも非常に面白い路線になっています。

 社員さんは駐在していますが、スタフの受渡しのみの業務なので、飲み物の自販機はありますが切符の自動券売機はありません。電車に乗って着いた大江駅の乗換え改札で切符を購入することになります。ついでに切符も売ってくれりゃあいいのにさー、と思いますがそういうわけにもいかないのでしょうね。ちなみに係員詰所の前に自転車が止めてあったので、この社員さんは大江駅から自転車に乗ってやってきて(ご苦労様です)、電車が走っている時間帯だけここに居るようです。

 さてこの東名古屋港駅。電車はここで終点ですが、線路は非電化になりながらも先に続いています。これ、何なんでしょう。実はこの先、名古屋臨海鉄道を介して線路はJR線と繋がっています。ということで、工場で作られ、JR線を経由して回送されてきた車両は、ここを通って名鉄線内に入ってきます。つまり、初めて通る自社線というのがここなんですね。

 そして先ほどの線路が平面交差をするあたり、そこには引込み線があります。ここは解体場のようになっていて、古くなった電車の一部はここで解体作業が行われます。つまり、電車として最後に通る線路もまた、この路線・駅なのです。時刻表を一見するとどうしてこのような路線があるのかよく分からないですが、実はこのような重要な位置づけにある路線だったんですね。

 平日朝夕、休日は8往復。電車があまり来ない駅は、車両の始まりと終わりを見守る、意外に奥深い駅なのでした。

東名古屋港駅全景 東名古屋港駅・大江方からの様子


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