〜結果編〜
結果編
ということで、結果編です。先ほどは、オルゴールとガラス工芸品、どちらも女性が好みそうなものということでした。ではどうして著名な観光地に女性の好みそうなものを展示または販売する必要があるのか、ということになってきます。観光地には女性が多いんでしょうか。一般的に昭和50年代以降女性旅行者が多くなってきた、ということを見聞きします。確かに観光地を歩いていても、女性旅行者の方、多いです。では、いったいどれくらいの数の女性が、どれくらいの頻度で旅行に出かけていらっしゃるのでしょう。
このあたり、なんか具体的な数字がほしいなー、と思い、もそもそと探しておりましたら、ありました。こちらの表です(また表かいな。)。
第6表 単身世帯(全世帯) | ||||||||
費目 | 平均 | 30歳未満 | 30〜39歳 | 40〜49歳 | 50〜59歳 | 60〜69歳 | 70歳以上 | |
男性 | 宿泊費 | 1409 | 1578 | 1628 | 1332 | 2130 | 334 | 687 |
パック旅行費 | 3364 | 2111 | 7607 | 2510 | 1262 | 2915 | 3958 | |
うち国内パック旅行費 | 1964 | 1797 | 1937 | 1227 | 1262 | 2547 | 3851 | |
女性 | 宿泊費 | 905 | 1082 | 816 | 570 | 986 | 966 | 794 |
パック旅行費 | 4514 | 2145 | 4091 | 2744 | 3517 | 7522 | 4176 | |
うち国内パック旅行費 | 3299 | 2002 | 3203 | 1207 | 2843 | 4685 | 3431 | |
全平均 | 宿泊費 | 1156 | 1408 | 1374 | 1151 | 1525 | 800 | 765 |
パック旅行費 | 3941 | 2122 | 6507 | 2566 | 2455 | 6315 | 4117 | |
うち国内パック旅行費 | 2634 | 1867 | 2333 | 1223 | 2098 | 4126 | 3546 | |
第32表 2人以上の一般世帯(全世帯) | ||||||||
費目 | 平均 | 30歳未満 | 30〜39歳 | 40〜49歳 | 50〜59歳 | 60歳以上 | ||
男性 | 宿泊費 | 793 | 1086 | - | 367 | 206 | 1693 | |
パック旅行費 | 1283 | 219 | 40 | 696 | 346 | 3239 | ||
女性 | 宿泊費 | 463 | 598 | 1032 | - | - | 82 | |
パック旅行費 | 2959 | 2464 | 7204 | - | 639 | 2490 | ||
全平均 | 宿泊費 | 738 | 868 | 115 | 354 | 201 | 1440 | |
パック旅行費 | 1561 | 1223 | 842 | 671 | 353 | 3122 |
この表は、総務庁(現総務省)統計局が調査した「平成11年度全国消費実態調査 結果一覧表(第6表及び第32表)」の一部です。これは5年おきに実施され、世の中の人がどれくらいの収入を得、どういった費目にどれくらいの金額を費消しているかという調査です。表中の数字は1人1ヶ月あたりの平均出費を表し、単位は円です。表によっては小さな数字が並んでいますが、これは調査月(複数月)の出費を1か月で割ったためと思われます。なお、2人以上の一般世帯については、国内パック旅行費という項目がないので、この項目に限っては、海外パック旅行も含んでいます。
で、これを見てみますと。明らかに女性のほうが旅行に使う支出が多いですね。パック旅行費支出が男性より多いところは赤で太書きにしてありますが、特に2人以上の世帯、30台の女性がすごいです。30台単身者男性と並んでもう大散財。個人的な感想として、若年層を中心に、もう少し海外のほうに多く偏っているのかな、と思っていたんですが、みなさん案外国内旅行に出かけていらっしゃるようで、それが意外でした。
ということで、統計上からも男性よりも女性のほうが旅行に使う費用は多い≒含意的に男性よりも女性のほうがよく旅行に出かけている、ということがわかりました。本当はね、「旅先で誰がどれくらいのお金を使っているか」という調査があればなあ、と思っていたんですが、そういうのが見あたらなかったのでこのような表を挙げてみました。
さて、そこで。女性が多く旅行に出かけるようになったということは、観光地で何らかのご商売なり博物館なりをするとなると、確率的に女性受けするものを扱ったほうが効率がいい、ということになってきますね。
そこで、女性受けしやすいオルゴールやガラス工芸などの小物、ということになってくるのでしょうね。買うにしても1個あたりの微妙な値ごろ感、複数個買っても持って帰れる大きさ。そういえば、オルゴール館やガラス館がある観光地は、倉敷、函館、松島、清里など、景観を見て歩いたりが中心の、いわゆる女性に人気の観光地で、山に登ったりなど、きついことをしなくても楽しめる観光地にあることが多いですね。
そのあたりも含めて、何となくあるオルゴール館やガラス館、統計的見地から見て実に合理的な選択なんですね。恐れ入りました。
・・・ということで結論。
著名な観光地にはオルゴール博物館やガラス館が多い、のではなくて、
オルゴール博物館やガラス館は、著名な観光地に多い。
品目がオルゴールとガラス工芸に偏るのは、女性が旅行に多く出かける、という事実に基づいた、経営上・運営上合理的な選択の結果である。
◆どうでもよいあとがき
はい、今回は鉄道には全く関係のない小ネタでした。実は以前から、私が気になっていたことのひとつなんです。直接ご当地に関係のない工芸品が、どうしてこう大きな観光地にばかりあるのかということ、すごく不思議だったんです。もっとも、「女性に向けたものではないか」というのは当初気づいていたことであり、今回もそれを具体的数値で裏付ける(裏付けられているんでしょうか)、という作業が中心でした。
あ、でもね、必ずしも女性だけに向けた展示やご商売でないとおもいますので、男性の方もどんどん入ってください。だたカップルや親子連れで行った場合、「買って買って〜!」になるので、ほどほどの注意が必要です。
それにしても、統計表からなんですが、30台単身男性、異常に海外に行ってますね。いったい行った先で何をしているのやら・・・。